高齢者の免許返納

高齢ドライバーの事故

最近はニュースで毎日のように高齢ドライバーの事故が取り上げられています。その内容がブレーキとアクセルの踏み間違いであったり、持病の発作、気が動転してしまって訳わからない、などという事が多いです。

だから高齢ドライバーは危ないと。私も含め高齢の家族がいれば不安になります。

自分の家族が事故を起こして人を傷つけてしまったら?何かにぶつかって本人がケガをしてしまったら?と思うと怖くて運転させることができなくなります。もちろん高齢ドライバーが事故を起こせばニュースにも取り上げられる。

被害者をだしてはいけませし、高齢者本人が警察などで取調べを受け、裁かれていくのも耐えらない事でしょう。

被害者側からすると、そんな状態で運転をする、させた方が悪いとなるのは当然です。責任は本人だけではなく高齢者に運転させていた家族にも問われます。

高齢ドライバーの事故は騒がれますが、飲酒運転や、暴走、交通ルールを守らない事故を含め、高齢ドライバーの事故も昔からあったわけです。今に始まったわけではありませんが、立て続けに高齢ドライバーの事故があり、どうしたら高齢者の事故がなくせるか?という事で免許返納の流れになっています。

免許返納をしたがらない….

私の祖父も86歳になります。耳の聞こえも悪くなっているので「人を傷つけてしまってからでは遅いから返納しよう」と声をかけました。

度重なる高齢ドライバーのニュース。世間では高齢ドライバー非難。返納の流れ。祖父から返ってくる返事は「返納しよう」だと思っていました。

しかし本人は「次の免許更新がくるまで運転してから返納する。」と言うのです。その時、免許更新日まで1年ありました。

まだまだ大丈夫。なぜか事故を起こすまでは大丈夫という謎の自信。そうなる前にと伝えているつもりなのですが、本人からすると、まだしっかりしているのに、なぜ免許を取り上げられなければならないんだ。と腹が立つのでしょうね。免許を返納するにはよっぽどの事情がない限り、本人を連れていかなければなりません。家族の意思で返納ができれば楽ですが、そんなわけにはいかないので本人を説得して連れていくことが理想です。それでも納得しない場合は、車に乗れないよう、キーを隠してしまったりする方もいらっしゃいます。

実際、田舎暮らしで買い物に行くにも車で10分から15分はかかる。しかも坂もあるので高齢者が歩いて買い物に行くのは無理な状況。田舎で暮らしていると、買い物だけではなく、病院や銀行、遊びに行く等、若い頃から車に乗るという事は当たり前になっている。都会の人だと車の方が面倒で公共交通機関の方が楽で慣れている方もいらっしゃると思いますが、田舎暮らしにとっては車はライフラインです。一人暮らしの方なら何もかも一人でやらなければいけません。簡単に返納の言葉は言えるものではありません。だからと言って、ずっと運転してもいい理由にはならないのでジレンマなのです。

その後、家族で何回も話し合い、言い合いにもなりましたが、ケンカをしようが気まずくなろうが事故をされるよりもいい!という気持ちで返納の意思を通し、本人も納得の上やっと今月に免許を返納しました。そのぶん家族が送り迎えなどのフォローは増えますが正直ホッとしています。

事故は私たち現役世代でも何時でも起こりえると思います。ただ、高齢であったり、飲酒運転であればその確率は当然増えてしまいます。

高齢者が運転を止めたら要介護リスク2倍⁈

高齢者の要介護リスクの増加が運転を続けている人に比べて、運転を止めて公共交通機関に切り替えた人で1.6倍、全く運転を止めて、公共交通機関も使わない人、家族などに送迎してもらう人は2.1倍にもなってしまうそうです。

移動の手段がなくなると活動量が減って健康度が下がる。そう言われるとそうですよね。車の運転は慣れていても周囲の歩行者、標識、道路状況など無意識にも緊張しています。仕事や運転など緊張するものが無くなると認知症になったり健康度が下がってしまうのです。個人差もあるので難しいですね。

交通ルール

高齢者だから事故が多いとはならないと思います。先ほどもふれた飲酒運転や交通ルール違反も大きな事故を起こしています。

道路を走っていると交通の流れに乗ると制限速度をオーバーしていますよね。60km制限の道路で30kmや40kmで走っていれば、遅い車として邪魔扱いされてしまう。最近のあおり運転につながります。流れに乗れて走ってないと逆に怖い時あります、車線変更とか。高齢者の方はだいたいゆっくり走っていらっしゃるので、よっぽど交通ルールを守った安全運転ですよね。本人も歳を取って、運動神経や反射神経が衰えてきているのは自覚しているので、スピードを出すのが怖いから、ゆっくり走るのです。

交通ルール、制限速度、これを皆が本当に守ったら当たり前に事故は激減しますよね。特に制限速度守っていたら、交差点でも、何か飛び出してきても、たいがい止まれるスピードです。オーバーしているから制動距離、反射神経が付いてこない。制限速度をオーバーしているのが当たり前の道路で、流れに乗ろうとした結果として、高齢者が事故を起こす。このパターンも多いと思います。

自動車学校の運転ですね。大きい道路でも制限速度守る、見通しの悪い所では徐行。高齢者はこの運転をしていてイライラされる。理不尽ですね。

煽り運転も騒がれていて、厳しくなってきていますが、初心者マークや高齢者マークを付けた車に対して、譲る、待つ、スピード、車間距離、などに気を付ければ、事故の原因が少なくなるのではないでしょうか。事故の原因イコール高齢者ではなく、本当の原因はまわりの運転かもしれません。

うちの祖父のように体が健康でも、耳が聞こえないのに運転をするのはダメです。踏切や緊急車両、歩行者や自転車の音も聞こえなければ、危険です。もう車に乗れないよと告げる事は、プライドを傷つけるようでこちらも引け目はありますが、正しい事をしたと思っているので、後悔はありません。車好きの方であれば免許を失うのは立ち直れないほどのショックかもしれませんが、やはり家族が支えていかなくてはいけませんね。