自分の時間、心のゆとりがなくなると肉体的、精神的にも疲れ果ててしまいます。
このページを開いた方は、今まさに介護と戦っているのではないでしょうか？
介護しても介護しても良くなるどころか悪化するばかり。仕事をしながら夜はトイレ、おむつ交換と何回も起きなければならない。少しでも言い返そうものなら暴言をいわれたり、子供が親の面倒をみるのは当たり前。嫁がやるのが当たり前。
こんな日々があとどれだけ続くだろう…。
いくら頑張っても報われない日々に、大きな虚無感が押し寄せてきます。
あなたは大丈夫ですか？
私の母は要介護４の祖母と要介護3の叔母を、仕事をしながら自宅介護していました。祖母は足は悪いですが、認知症であっても明るく笑えるような話が多く、そこまで困る事はないのですが、叔母の認知症は物盗られ妄想がひどいケースでした。
叔母は「私の綿棒がない。シーツもない。私の部屋に勝手に入るのはお前しかいない。」、「ハサミがない、栄養クリームがない。」などを話すようになりました。そんなもの盗るはずもないと、どれだけ説明しても無駄でした。
あれがない、これがないと激昂する叔母の様子は、まるで演劇を見ているようで母はあっけに取られるしかありませんでした。
叔母は潔癖な人で自分専用に洗濯機を使っていましたが、それを無断で使ったと言い張る日もありました。しかもそれで母の下のものを洗ったから許せないというのです。
母はその洗濯機を決して使ってはいませんが、いくら否定しても無駄。
日々そんなやりとりで疲弊していました。
そうした事が続き、とうとうある日、母が仕事から帰ると家に警察がきているのでビックリ。泥棒が入ったと通報があったそうです。
そうです。叔母が通報したのです。
警察の方に事情を話したらこういう事はよくあるそうで慣れていますけど一応。という感じで優しく対応していただきましたが、よくあるんですね…。こんなことにばかり付き合っていたら大変だ。
泥棒扱いされるなんて報われない、母もまいっていて、私もどう声をかけてあげていいのかわからないくらい可哀相でした。私もその時は仕事もフルタイムで帰りも遅く少ししか手伝うことができませんでした。母も私に迷惑をかけないようにと自分ばかりを犠牲にしていきました。
しかし、こうなればいっそ逆に何回でも警察を呼んでくれ、警察には迷惑だが、そうなれば世間の知るところとなり施設でも精神科でも入りやすくなるのではないか・・・しかし叔母が警察に電話したのは一度だけでした。
もともと疑り深い人だったようで、昔住んでいたところの隣のひとに（嘘か本当か)ほうれん草を枯らされた事があるそうです。庭に自分の植えたつつじが枯れると、祖母が除草剤を撒いたと言う。母はバカバカしく思いその頃は取り合いませんでした。
玄関近くの物置にしまった叔母のものがなくなったと言った時にはまだ母ではなく泥棒が入ったと言っていました。
しかしその「泥棒」は祖母が骨折をした辺りから、もはや母しかいないという確信に変わっていったようです。
それにしても無くなったというものはくだらないものばかりでした。
誰が入れ歯を合わせる時に使う刃物なんて盗むでしょう。
それが認知症なのですね
インターネットの情報で「決して否定してはいけません、一緒に探しましょう」と書いてあるので母がやってみたら、後から「一緒に探すなんて言っちゃって、なんて白々しい」と言われたそうです。
介護うつにはならなかったものの、近いものはありました。仕事をやめたほうがいいかと思いながらも続けられた事は幸いでした。
そして、叔母は老衰で亡くなりましたが、その時はどうしても「やっと終わった」という解放感です。ひどいようですが悲しみではありません。
叔母は「母に大変世話になったからお礼を言って」と亡くなる少し前に知人に告げています。その一言でどれだけ母は救われたことか・・・・・。
このような体験が、私が介護に興味をもつキッカケとなりました。母を介護する時に私には何ができるだろうか。自分も年をとれば人に迷惑をかける。困った時にはどうすればいいのか知っておくだけでも心強いと思います。
介護うつの症状
- 食欲不振
- 睡眠障害
- 疲労感や倦怠感
- 不安感や焦燥感
- 憂鬱感や思考障害
- 集中力低下
ご飯を食べても味がしなくなったり、何度も目が覚めてしまう、何をしても体が重く疲れやすい。気分の浮き沈みが激しいなどの症状が2週間以上続くようであればうつ病かもしれません。そのまま自己否定、ネガティブに陥ると生きていても意味がないと自殺願望が芽生えてしまうのでそうなる前に抜け出しましょう。
あなたの人生はあなたの物です。明日死ぬと思ったらなんでもできる気分になりませんか？介護を適当にやればいいという事ではないですが、そこまで追い詰められるほど頑張る必要はないんです。
掃除をしなくても洗濯を畳まなくても死にません。今は総菜も安くて美味しい！完璧にできる人なんていません。安心してください。
これだけ追い詰められていると知らずに、何で家の事をしっかりできないんだと怒る旦那さんやその他家族さんがいましたら、このページを本人に見せてあげてください。怒る暇があるなら洗濯でも畳みましょう！介護の悩みは経験者にしかわかりません。上っ面の大変だね。という言葉はいらないのです。欲しいのは協力なんです。
あなたは周りに相談、頼れる人はいますか？
あまり寝れていないなど、睡眠障害がひどい場合はお医者さんに相談しましょう。寝れないことは更にストレスの原因になりますのでまずは睡眠リズムを正せるといいですよね。
介護うつの治療法
抗うつ薬が使われます。頭痛、吐き気、嘔吐など副作用がありますので自己判断をせず、用法容量を守りましょう。
カウンセリングにより、物事の受け止め方や思考方法を補正していきます。
ただ休憩をするという事ではありません。介護から一旦、離れるということです。ショートステイなどを利用し、全部を一人で抱え込むことから解放されましょう。うつになりやすい傾向の方は、真面目で責任感があり、几帳面な人なので自分が介護をせず、預けるなんて…。と自責の念にかられてしまいますが、介護する側が、心の病気なのです。まずは、ご自分を大事にしてください。
地域包括支援センターに相談
高齢者を支える総合相談窓口です。現在お住まいの地域の地域包括支援センターにお問い合わせください。デイサービスやショートステイなど考えてみてはいかがでしょうか？
一人が好きな人もいますし、団体が苦手な人もいますので、行きたがらない場合もあります。毎日機嫌を伺いながら、行ってもらうのも疲れてしまいますが、説得できるだけしてみましょう。
施設を利用することで親を施設にいれてしまったという罪悪感が消えない。という声も耳にします。産んで育ててくれた大事な親です。罪悪感をもてる事は素晴らしい事だと思います。しかし、これから施設の方よりもちゃんと介護ができますか？できるのであればそのまま継続されるのが1番だと思います。でも、限界が来たときには頼るべきところがあるのだと知ってください。専門の人が毎日ちゃんと看ていてくれるんですよ？素人の自分がやるより安心だと思いませんか？自分ばかり責めてはダメです。自分の心にゆとりができるようであれば物事の考え方を少しづづ変えていける事ができます。前向きに、そして少しラクに考えれるようになるといいですね。