突然介護が始まった!

家族の介護


〈離れて暮らす親が一緒に暮らすことに〉

家族が突然倒れた!入院! 今日から介護といわれても…。

理由は人それぞれ。いつ誰に何が起こるかもわからない。始まったら長い道のりの介護。焦りは禁物。

自分のペースで向き合っていきましょう。

歳をとるごとに住み慣れた環境から離れるのは抵抗があるものです。通い慣れた病院が突然変わるのも高齢者にとっては不安なものです。お互いに今までと生活リズムが違うので双方がストレスを抱えることに。

今後の生活をどうしたいのか、どういう想いなのかを最初に話し合う事が大事です。その上で相手の意見を尊重できるといいですね。

これからお世話になるからといって思っていることを口に出せず、引きこもりやうつを発症する場合も。こちらから質問攻めなどをして聞くのは逆効果なので日常会話を含めながら聞き手にまわることができるのが理想です。

認知症かな?と思ったら

高齢になると物忘れなのか認知症の初期症状なのか、ラインが難しくなってきますね。物忘れの場合は若くてもありますが、認知症の場合は物忘れしていることさえも忘れてしまうものです。

あれ?何を取りにきたんだっけ?

こんな経験があると思います。何度か続くと自分で大丈夫か?と思う事もあるくらいです。でもそう思えるうちはまだ大丈夫という事ですね。芸能人などの名前なども覚えにくくなった、名前が出てこない。こんな事はしょっちゅうですが、これが身近な人の名前が出てこなくなると要注意です。

これ前にも話したっけ?

こんなパターンもよくあると思います。誰に何を話したかわからなくなってつい同じ事を話したり、酔うと同じ話をしてしまったり。

これとは違い、次の日にはまた同じ話をする。ひどくなればその日のうちに、1時間ごとに、10分ごとに、1分ごとに…。

認知症で老人ホームに入っている親戚がいますが1分ごとに名前は?どこからきたの?と繰り返します。何度も名前と〇〇からきたよ!と話しました。会話はそれのみ。それでも帰るとなるとよくきてくれたと涙を流してくれました。忘れてしまうけど理解はしてくれたんだと思います。

このように明らかに認知症だなとわかればいいのですが、初期のうちはまだ、もの忘れかもしれない。認知症を疑うのもプライドを傷つけてしまうかも。と病院に連れていくのもためらう原因にもなりますよね。

家族の名前を言えなかったり、同じ事を何回もいったり、日にち、時間がわからず生活に支障をきたす程であれば対応もできますが一緒にいて、あれ?と思う事ができるのがやはり家族の存在だと思います。ご家族によっては認めたくない !と結果がわかるのが嫌で病院に行かない方もいらっしゃいますが早期発見、早めの治療を心掛けることで進行を遅らせるほうが本人、家族の為だと思います。

 

認知症の症状

・同じことを繰り返し話す

・物忘れや探し物の回数が増えてきた

・服装などが無頓着になる

・薬の管理ができなくなる

・意欲がなくなる。

・場所、時間がわからなくなってしまう。

・怒りっぽくなる、人を疑う

まだまだありますがこれらの頻度が増すようであれば早めに診察を。うつ状態、意識障害などでも似たような症状が出るため、これらを正しく区別するため専門医に相談しましょう。早期発見で症状を悪化させないようにすることが望まれます。

アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症が多くを占めますが、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症など多種あります。原因や症状も異なりますのではっきりさせて症状にあったケアをしましょう。

認知症は現在の医学では完治は見込めません。しかし、薬や周りの環境などによって進行を遅らすことはできます。

治るタイプの認知症

正常圧水頭症 脳髄液が脳室に過剰にたまり、脳を圧迫します。

慢性硬膜下血腫 頭をぶつけた時に頭蓋骨と脳の間に血のかたまりができ、それが脳を圧迫します。

中核症状

  • 記憶障害(食事をしたか、薬を飲んだか等)
  • 見当識障害(日付、時間、場所がわからない等)
  • 失認、失行、失語(出来た事が出来ない、聞く、話す等の機能低下)
  • 実行機能障害、判断力障害(家事ができない、善悪の判断ができない等)
  • 性格変化(性格の先鋭化、新たな性格の出現)

周辺症状(BPSD)

  • 心理症状(不安、焦燥、抑鬱状態と自発性の低下、もの忘れ、身体の不調などを訴える心気症状、幻覚・妄想、睡眠障害など)
  • 行動障害(作話、徘徊、異食、失禁、ろう便、暴力行為)

ろう便とは、便を触ったり、なすりつけたりする事です。お尻が気持ち悪いけど便だとわかっていないので触ってしまう。触ったら自分の手に何かついているからどこかで拭く為になすりつける。決して家族を困らせようと嫌がらせでやっているわけではないので誤解しないでください。

薬を服用するときの注意事項

認知症の方は、病院を受診した事を忘れて、複数の医療機関を受診するケースも多々みられます。高齢者は薬の副作用が出やすいので新たな投薬の場合は一度かかりつけ医に相談した後、服用するようにしましょう。

〈服薬を拒否する場合〉

薬を飲みたがらない時に無理矢理飲ませようとしても頑固になってしまうので、飲ます時間をズラしてもいいのでコミュニケーションをとりながら機嫌のいい時に飲ませましょう。

認知症のケア

  • 発言を否定しない
  • 共感して受け入れる
  • 相手の立場になって考える
  • できない事を否定せず、できる事を支援する

このように介護する側はわたしは味方だよと認知症の人に寄り添い接しましょう。不安を取り除く事で信頼関係に繋がります。

介護施設への入居

認知症が進行し、自宅の生活が難しくなってきたり、ご家族の負担が大きくなる場合は介護施設の検討をしましょう。

〈入居可能な施設〉

⚪︎特別養護老人ホーム

多人数を前提とした従来型

少人数でのケアを基本としたユニット型

看護師配置のため、ある程度の医療的支援は可能です。

原則要介護3以上ですが特例で認知症では要介護度2以下でも入居可能な場合があります。

⚪︎サービス付き高齢者向け住宅

民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅です。

安否確認、生活相談をしてくれます。介護が必要な場合は外部の介護サービスの契約が必要。

⚪︎グループホーム(認知症対応型生活介護)

5〜9人を1グループにした少人数で、専門職員によって必要な支援をうけつつ、家庭的な環境で共同生活します。

基本的には事業所のある市区町村の住民が入居対象となります。

⚪︎有料老人ホーム

有料老人ホームの中でも介護付き有料老人ホームとされている施設は、介護職員の他に医療職も配置されているので、認知症の方には心強いと思います。

ケアハウス、介護老人施設などがありますが認知症の症状により、入居可能か判断されます。

特別養護老人ホーム、ケアハウスがこの中では安価ですが、全ての場所で金額は異なりますので確認しましょう。お忙しい方はケアマネジャーに相談するのが安心です。お時間のある方は、お近くの施設のパンフレット集め、見学をしご本人の希望する場所を検討してください。

この際、家族の意見が尊重され、ご本人がないがしろになってしまうケースもあるので、これから利用するご本人の意見を尊重しながら、どうしても無理な事はこちらの判断で行うようにしましょう。

ご家族さまへ

今までしっかりしていた身内がいきなり認知症になり、どんどん物事がわからなくなっていく事にショックを受ける時期もある事でしょう。心配・不安はあるものの、ついカッとなって怒鳴ってしまったり言い返してしまったり…。怒鳴った後に自責の念にかられて後悔の繰り返し。

認知症は脳の萎縮などによる病気です。どれだけ腹が立つ事でもそれは病気のせいです。誰もがなりえる可能性のある事です。病気を責めるのはやめましょう。ストレスを抱え全てを真面目に受け取って一人で頑張らなくてもいいんです。介護する側の心が壊れてしまってはいけません。頼れる所は甘えましょう。